●「最後の神様」

人間は過去を引きずって生きています。
小さい時に失敗した。親に叱られた。
その引きずっている過去から切り離してくれるのが実は最後の神様なんです。
例えばあなたが「一ヵ月の命だ」「今日一日の命だ」と言われたとします。
もし今日一日の命だとしたら「行きたい所に行こう」それから愛する人に
「お世話になりました」と言おうとか、そういう事になります。


親もずっと生きていると思うのではなく、いつ死んでしまうか分からないから
「ご飯のひとつでも食べさせたいな」「お寿司でもたべさせたいな」「あんな貧しい
中からよく自分の事を育ててくれたな」とかいろんな事を思います。

それから私は仕事をしていていつも死というものを考えます。
ひとたび死というものに会うと、どんな会社をつくり、どんな財産をつくり、どんな
土地をもっていても一瞬にして無くなります。
そうすると人間とは何をすべきなんだろうか?

ただただ死を恐れるのではなくて、今幸せじゃないかと。それから人が喜ぶ講演会で
もやった方が良いんじゃないか、と思います。
人は死を恐れて、毛嫌いしてきたけど、それは悪魔がそう思わせているんです。

昔こういう外国の映画がありました。
ああこの映画を作った人はよく分かっているなと思ったことがあります。
それはあるお婆さんがもう年老いて死神が来るのを恐れて、入口に死神が入れない
ようにおまじないをしていた。顔が恐怖に震えていた時に一人の旅の青年が来て
コンコンと戸をたたいた。
その青年が物凄く優しくて「一晩だけ泊めて下さい」
その人を見て安心して中に入れたら「お婆さん、もう頑張らなくていいんですよ。
大変だったですね。私と一緒に行きましょう」って優しくその神様に抱かれるように
死んでいったの。

人は死んでまた生まれ変わり、何度も生まれ変わりするから、怖いと思わせようと
するのは悪魔の仕業なの。
それよりも、
もしかしたら自分もいつ死ぬか分からない。
そして相手も目の前の人もいつ死ぬか分からない。
でもイライラして「おまえなんか大嫌いだ」と愛している人に言ってしまうことも
あるの。
でも、そのまま相手が死んでしまったら、あいつになんてこと言ってしまったんだっ
て。
逆に自分が死んでしまったら自分はなんて思うだろうか。

そういうことを考えただけで人はまともに愛の道に戻れるの。
だから死というものに「神」がついているというのは、ちゃんとした神様であって
あなたたちが思っている死神は「もののけ」(悪魔)だよ。
本当はそういうものでないの。
もっと優しくて、迎えに来てくれて、人間が迷わないようにしてくれるもっと優しい
ものなの。

死という「ふるさと」に連れて行ってくれる為の道先案内人なの。
その死を思っただけで、人は過去の嫌な事なんか考えている暇もないし、必要ないし
考えられないの。
もう、ちゃんと「やる事」が見えてくるの。

あなたたちは悪魔を神だと思い、神を悪魔のように思っているから、不幸が続くんだ
よ。分かりづらいです。千人に一人、一万人に一人、それすら分からないかもしれな
い。

人は何度も生まれ変わります。
だから死なんか恐れる事はないし、死を恐れる事がないんだとしたら、死ぬ時迎えに
来てくれるその人も恐れる事はないんです。
死を恐れないというのは、戦争をしろとか言っているんじゃないんだよ。ちゃんと
生きて迎えに来てくれるという、まともな話をしているの。

「私は親に対して、ついついこういう事を言っちゃうんだとか、言った後からなんで
あんなことを言っちゃったのかなと反省するんだけど、ついつい言っちゃうんだよ
ね」という人がいたんです。

それは死というものを完全に受け入れていないからなんだよ。
だってあなたは、親はなかなか死なないと思っているし、自分も死なない
と思っているからそういう事がいえる。
本当はお母さんは明日死んでしまうかも分からない。
そうしたら、そんなことがパッと言えるわけがない。

だって本当は愛しているんだよね。
だから、自分も、お母さんも明日死んでしまうかもしれないと言ったら、やっぱり
本当に心の中から愛のある言葉がすっと出るよね。
そうやって
死の天使を思い出しただけで、心から正しい愛情が出て来るよね
ていう事を言っているんです。

例えば死ぬまで親が許せない、父が許せなかったという人もいるんです。
だけどその父親が亡くなって何年もすると、だんだん許せるようになったり、良い所
もあったよなと良い所がないと思っていた父親の良い所もポツンと思い出したりす
る。
これも死という天使があなたの心の中に変化を起こさせてくれたんです。

暴走族とか命を無駄にしてしまう人がいるけど、死を恐れないというのと、命を無駄
にするというのは全然違う意味なんだよ。
大切な命なんだから、この大切な命をちゃんと全うしなくてはいけないよ。
それで最後に迷わないようにちゃんと連れて行ってくれる最高に美しい神様の事を
鎌を持った悪魔のように表現するのはいけないね。

もうひとつ追伸があるのだけど、
ひとは等しく皆死にます。誰でもです。逃れる事は出来ません。
死というのは神様が与えたものだから、誰も逃れる事は出来ません。
そうすると、神様ってそんなに嫌な事を、大変な事を全員に与えるんだろうか?
そんなこと絶対にないんです。人間は何回も生まれ変わって成長していきます。
魂の成長が止まる事があり、体がボロボロになってしまう事もあり、古くなってしま
う事だってあります。今生で学び終える事もあります。
そして必ず死ぬときは、ちゃんと美しい人が迎えに来てくれるから、そんなに嫌な事
でないんだよ。
それから、神様はみんなが嫌がり、困る事をしない。
その事が分かれば、ああそうなんだね。ということが分かりやすくなります。

私は日本という国が世界で一番豊かだと言われながら
「なんでこんなに悩み苦しみ、不幸な人が多いんだろうか」と。

それは
自分の中にある劣等感という悪魔がみんなを不幸にしているのだ、と考えて
います。
たった一度の人生を地獄のように生きないで、天国のように幸せに生きられる
ように心から願っています。